ひとり遊び?

ひとりで車を走らせるのが好きだ。

紛争の生じている現場、いろんな場所に点在する裁判所、少年たちが待っている鑑別所、担当することになった被疑者や被告人がいる警察署・拘置所、いろんな悩みを抱えている人達が集まる市役所、弁護士は様々なところへ出向く。

そんな時、大好きな車で移動する。

この車内で、ひとり、担当している事件のこと、それぞれの当事者のことを考え悩む時間や、反対に全く考えないでボーっと過ごす時間が好きだ。

台風6号が日本の西側を襲ってきたとき、愛車は堺市の鑑別所へ向かっていた。

強い風と横なぶりの大雨の中、ワイパーの合わせて、リズム良く御堂筋を南下する。

愛車は梅雨を知らないイタリアで造られたおんぼろの中古車やから、雨漏りがひどく、ある程度の時間、雨に打たれると、ご主人様の左足の腿は、天井からの容赦ない水滴攻撃のため、べちょべちょになってしまう。

この日もいつもの如く、愛車は虎視眈々とご主人様に水浴びをさせてあげようという大きなお世話で、目一杯の水滴をぶつけてきた。

そのご主人様は、今までの攻撃に対してリベンジを誓っていたから、前もって、ビニール袋を破り広げ、左足腿に巻きつけて天井から滴り落ちてくる水滴を返り討ちにしようと目論んでいた。
しかし、敵も然ること、運転席側のみならず助手席側からも攻撃を仕掛けてきた。

「分かった、もう今日はこれぐらいで勘弁したろ」(池野めだか風)とひとり呟いても、もうどうにも止まらない(山本リンダ風)。

ひとり、人には絶対聞いて欲しくない著しくつまらないことを呟きながら走るのも大好きなのだ。

ときどき、日々、直面する煩わしいことから全て解き放たれたらどんなに幸せやろ!自分ひとりで生きることができたらすばらしいのに!と思うときがある。

でも、すぐに気が付く。
愛する家族がいて、尊敬する友人がいて、一緒に頑張る仕事仲間がいて、いろんな人達との関わりが在って、自分は喜んだり悲しんだりできる。自分を成長させることができる。

たまにはひとりになりたいときもあるけど、それはいろんな人達といつも一緒にいることができているからなんや。

ひとはひとりじゃ生きることはできない。
様々な人に支えられている。世界中のひと達もみんな、ひとりじゃ生きてはいらない。

今日も、みんなのお陰で生きていることに感謝しつつ、愛車を走らせる。FM802から聞こえるヒロ寺平のお寒いギャグに突っ込みを入れながら。

草島

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