告訴・告発について

  1. 告訴・告発とは
    「告訴」とは,犯罪の被害者その他被害者の親権者や相続人など一定の者が,捜査機関に対して,犯罪事実を申告して,その犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。

    「告発」とは,告訴権者または犯人を除いた第三者が,捜査機関に対して,犯罪事実を申告して,犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。

    この点,「被害届」というものがありますが,これは犯罪事実の申告はしますが,犯人の処罰を求める意思表示は含まれていません。

    また,後述のとおり,告訴・告発を受けた捜査機関は,被害届を受けた場合とは異なる手続き上の義務を負います。したがって,この点についても,「被害届」は「告訴」・「告発」とは区別されます。

  2. 告訴・告発はどのように行うか
    1. 告訴・告発を行う場所はどこか
      法律上特に限定はありませんが,通常は,犯罪の発生地または犯人の所在地を管轄する警察署,検察庁に赴いて行います。

      提出先を警察官にするのか,検察官にするのかについても,法律上規定はありませんので,事件の規模・性質等を考慮して,告訴する側が自由に選択できます。例えば,贈収賄事件や特別背任等の場合は検察官にするのが適切かもしれません。

    2. どのような形で行うか

      告訴・告発は法律上口頭でも可能ですが(刑事訴訟法241条1項),明確性を確保するため,書面によるのが通常となっています。

      告訴状・告発状には特に決まった方式はありませんが,作成者,日付,提出先,犯罪事実の表示,処罰の意思表示その他背景事情等を記載し,また証拠資料等を添付します。

  3. 告訴・告発の手続き上の効果

    司法警察員(公安委員会が指定する階級の警察官)が告訴・告発を受理した場合は,これに関する書類および証拠物を速やかに検察官に送付する必要があります(同法242条)。

    また,検察官は起訴したか・しなかったのかの結論を告訴人・告発人に通知する義務を負い(同法260条),請求があるときは,不起訴理由を告知しなければなりません(同法261条)。

    さらに,告訴人・告発人は,不起訴処分に不服があれば,検察審査会に対して審査の申立ができます。

    このように,捜査機関はいったん告訴・告発を受理すると,一定の期間内で処理する必要が生じます。

  4. まとめ
    捜査機関は,告訴・告発が有効なものであれば,これを受理する義務があります。
    しかし,上記で述べたような負担があるため,捜査機関は受理には慎重となり,告訴状等に不明な点がある,証拠資料が不十分である,捜査人員が不足している等の理由により,告訴・告発を受理しないケースが多々あるのが現状です。

    したがって,告訴をお考えの方は,被告訴人の行為が法的にどのような犯罪を構成するのかをしっかり検討する必要がありますので,一度弁護士にご相談ください。

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