企業法務一般に関するよくあるご質問

よくあるご質問

企業法務一般

クーリングオフ制度についてどのようなものか説明して下さい。
1 いったん契約を締結した後では,契約をした消費者は契約に拘束されるのが原則です。
しかしながら,セールスマンが突然訪問してくる訪問販売などの場合には,消費者が十分な検討の機会を与えられずに契約を締結してしまうような場合があります。
また,訪問販売や電話勧誘販売は,無店舗で行われる販売形態ですから,不適正な勧誘が行われがちですが,このような場合に契約した消費者が意思表示の瑕疵を立証するには困難が伴います。
そこで,消費者に熟慮期間(一般的には8日間)を与えるとともに,事業者の不適正勧誘を抑制し消費者被害を容易に救済しうるために,一定期間の無理由かつ無条件の解除権が与られており,これをクーリング・オフ制度といいます。
  我が国では,1972年に訪問販売形態での割賦販売について,割賦販売法第4条の4が初めてクーリング・オフ規定を設けたのを最初に,訪問販売法(現在は特定商取引法第9条,40条,48条,58条),宅地建物取引業法第37条の2,金融商品取引法37条の6,海外先物取引規制法第8条,特定商品預託取引法第8条,ゴルフ会員契約適正化法第12条,保険業法第309条等に規定され,消費者被害の救済に大きな役割を果たしています。

2 クーリング・オフ制度は,上記のように無理由かつ無条件の解除権ですので,行使するためには一定の要件を満たす必要があります。
無論,契約でクーリング・オフを認めている場合もありますので,その場合は,個々の契約の解釈によります。
  (1)契約場所による制限
クーリング・オフが認められる典型例が訪問販売ですが(特定商取引法第9条1項),キャッチセールス(街頭で呼び止めて店舗に同行させる取引)やアポイントメントセールス,電話勧誘の場合にも,たとえ契約が店舗で行われたとしてもクーリング・オフが認められます(特定商取引法第2条1項2号,9条,24条1項)。このような場合にも購入意思のなかった消費者に対して不意打ち的に勧誘が行われることから,消費者に熟慮期間が与えられていないからです。また,連鎖販売取引(マルチ商法)や業務提供誘因販売取引,継続的役務取引については,高額で幻惑的な契約や複雑で高度な契約を行うものであり,消費者に熟慮期間を付与するという上記クーリング・オフの立法趣旨に合致することから,契約の場所にかかわらずクーリング・オフが認められます。投資顧問契約やゴルフ会員契約も同様の立法趣旨から契約場所を問いません。
  (2)契約の目的物による制限
特定商取引法では,政令で指定された商品・権利・サービスに限定されていますし,投資顧問業法では,有価証券の投資顧問契約などというように,各法律で規制の目的とするものを限定しており,これに該当する必要があります。
   また,クーリング・オフが可能な目的物であったとしても,一定の指定消耗品の場合で,これらを使用したり全部又は一部を消費してしまった場合には,クーリング・オフが出来なくなる場合もあります。
  (3)時間的制約
クーリング・オフができる旨が記載された書面(法定書面)を受領した日から法律で定められた日数以内に,クーリング・オフの通知を発信すること(到達までは不要:発信主義)が必要です。
   事業者としては,クーリング・オフ規制が行われている契約類型に関して,契約の申し込みを受け,または契約を締結したときには,契約内容を明らかにする事項及びクーリング・オフに関する事項を記載した法定書面を交付する必要があります(特定商取引法4条,5条等)。これら法定書面において記載事項の欠落或いは不備があった場合には,法定書面の交付がなされていないとして,クーリング・オフの行使期間を経過した後の解除が認められた下級審裁判例(大阪地裁平成12・3・6等)が散見されますので,法定書面の記載事項には注意が必要です。

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