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意思表示の到達

カテゴリ: 不動産関係

 意思表示というのは,一定の法律効果の発生を意図しているとみられる意思を表示する行為をいいます。たとえば,契約の解除や取消は,一方の意思表示だけで可能ですが(単独行為),契約のように双方の意思表示が合致する必要があるものもあります。
 このような意思表示は相手方に到達して初めて効力を生じます(到達主義 民法97条1項)。
 実務上,遠隔地にいる相手に意思表示を伝えようとする場合には,郵便となりますし,意思表示の内容を証拠化出来るように,内容証明郵便を利用することが一般的です。
 では,大家さんが賃料を払ってくれない借主に対して,賃料を払うように催告をしようと内容証明郵便を発送しましたが,借主が不在で届かないような場合には,催告の効果は認められないのでしょうか。
 この点,到達というのは,相手が了知しうる状態に入ることですので,郵便受けに投入されたり,同居人が受け取った場合などは,本人の手に渡らなくても到達になります。
 しかし,内容証明郵便は,郵便受けに投函されることはなく,不在の場合には,不在配達通知書が届けられ,保管期間が満了してしまった場合は,差し出し人に返送されてしまいますので,到達と評価できるのかが問題になります。
 この点,受取拒否の場合は,意思表示を了知可能であったと考え,意思表示は到達したと認定する判例がありましたが,不在の事案については,下級審の裁判例は分かれていました。
 しかしながら,最高裁平成10年6月11日判決は,不在の事案において「遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる」と判示し,不在の事案についても一定の判断を示しています。
 ただし,上記判例は,差出人の表示等から意思表示の内容を推測可能であるような事案ですので,事前に全く交渉がないような場合に同様の判断となるかは微妙です。
 なお,訴状等の特別送達郵便の場合には,受取拒否の場合,配達人は郵便物をおいてくること(差置送達)が出来ます(民訴法106条3項)ので,訴状等で意思表示を行った場合には,受取拒否は意味がありません。

2011.1.13


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