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親族相続

特別縁故者~相続人でなくても財産を承継できる場合がある

カテゴリ: 親族相続

特別縁故者~相続人でなくても財産を承継できる場合がある
(今国会では,さらに特別寄与料の請求が新たに認められる見込み)

1 ある人が亡くなった場合,その遺産は相続人に承継されるのが原則です(民法896条)。 それでは,その人に相続人がいない場合はどうなるのでしょう。

2 相続人がいない場合(但し,単に所在が分からないにすぎない場合には,不在者財産管理人制度や失踪宣告の制度によることになります。),遺産は法人とされ,利害関係人等の請求により,相続財産管理人が家庭裁判所により選任されます(同951条,952条)。
  相続財産管理人は,遺産から相続債権者に対する支払いなどを行いますが(同957条),支払後に残った遺産につき,家庭裁判所が相当と認めるときは,亡くなった人と生計を同じくしていた者,亡くなった人の療養看護に努めた者その他亡くなった人と特別の縁故があった者(以下「特別縁故者」といいます。)に対し,その全部又は一部を与えることができるとされています(同958の3)。
但し,特別分与者が同遺産分与を受けるためには家庭裁判所へ申立てすることが必要であり,同申立ては,相続人捜索の公告期間満了後,3ヵ月以内に行わなければなりません。
特別縁故者に対する分与がなされなかった又は特別縁故者に対する分与が完了したのちに遺産がまだ残っている場合には,国庫に帰属し,相続財産管理人により国庫へ引渡がなされることになります。

3 特別縁故者の例としては,生計同一者である内縁の妻や事実上の養子,連れ子,亡長男の妻などが挙げられます。
 また,署名・押印など遺言の方式を満たしていないために遺言としての効力は認められなかったものの,老人ホーム入所の身元引受人となった親族に対し遺産を全て譲る旨のメモを残していた事案につき,特別縁故者と認めた裁判例が存在します(鳥取家審平成20年10月20日家月61巻6号112頁)。
その他「特別の縁故があった者」については,生計同一者や療養看護者に準ずる程度に被相続人との間に具体的且つ現実的な精神的・物質的に密接な交渉のあった者で,相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に特別の関係にあった者をいうなどとされており(大阪高決昭和46年5月18日家月24巻5号47頁),このような判断基準に従い,特別縁故者に該当するか具体的事案に応じて判断されることとなります。

4 なお,今国会(第196回)において,民法(相続関係)の改正案が審議されており,相続人が存在する場合であっても,被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした親族(相続人等を除く。)は,寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払が請求できることとなる見込みです(改正民法1050条)。
 同改正は,公布の日から起算して1年を超えない範囲で施行される見込みです。

以上


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